引き寄せの法則は嘘なのか?誇大表示なのか

引き寄せ

引き寄せの法則では「本当に実現したようにイメージを味わうと願いが叶う」とされている自己啓発だ。魔法ではなく考え方だ。しかし、引き寄せという名前は見た人に「何かの効果を期待させ、神秘が本物であるかのように誤認させる」ような名前だ。これが問題なのだ。

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引き寄せの法則は嘘か?

例えば、あなたは3日前の夕食をすぐに思い出せるだろうか?

人間は日常の出来事全てを完璧に記憶しようとしない。基本的に物事を忘れるようにできている。

しかし、人間は何かに関心を持つと、その出来事や物に注意が向きフォーカスされやすくなる。フォーカスされると脳は「関心があるものは大切なものである」と感じ記憶に留めておこうとする。その出来事が起きた結果「関心を持ったから、引き寄せた」と結びつけるが、実際は「普段気に留めておいたから印象に残り、思い出しやすくなった」だけである。

もし「カレーが食べたい」と普段から思っていて、現実にカレーを食べることができたら印象に残り「カレーを食べたいと思ったから、カレーを引き寄せた」と思うだろう。つまり、記憶に残らない目標は引き寄せてないと思い、記憶に残った目標は引き寄せたと思い込む。

目標をイメージする → 目標が達成され印象に残る → イメージしたから目標を引き寄せた

この一連の流れを引き寄せの法則というのだとしたら、魔法でもオカルトでもなく「記憶を再確認している」だけのことである。

引き寄せという名前は誇大表示なのか

所感だが、引き寄せという名前は見た人に「何かの効果を期待させ、神秘が本物であるかのように誤認させる」ような名前だ。これが問題なのだ。

物理法則を無視して突然欲しいものが現れそうな名前である。キャッチーではないが「目標に向かって進むための手順」という名称のほうがしっくりくるし、見た人を混乱させない。

引き寄せの法則は一旦置いておいて誇大表示について確認しておきたい。健康食品を例に出すが、消費者庁はインターネットにおいて以下のように定めている。

広告・宣伝の中には、健康の保持増進の効果等が必ずしも実証されていないにもかかわらず、当該効果等を期待させるような健康増進法(平成14年法律第103号)上の虚偽誇大表示や不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)上の不当表示(優良誤認表示)(以下、これらを併せて「虚偽誇大表示等」という。)に該当するおそれのある宣伝等も見受けられる。虚偽誇大表示等は、健康増進法や景品表示法による禁止の対象となる。160630premiums_9.pdf

虚偽誇大表示は詐欺と同じだ。だから禁止されている。

不動産のキャッチコピーにもルールがある。宅建業法32条には、実際よりも優良であると誇大に表示して、消費者等を誤認させるような広告等は禁止している。

著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。宅地建物取引業法 e-Gov

もし誤認させるような表示をすれば宅建業法違反となり、六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処されることとなる。

引き寄せの法則は不動産でもなく、ましては健康食品でもないので不当表示防止法には引っかからない、しかし果たしてそうだろうか。

「本当に実現したようにイメージを味わうと願いが叶う」なんて恣意的で効果を煽るような発言をすると「何もしなくても、勝手に願いが叶う」と本気で思い込み、何も努力せず労働すら放棄し生活に困る人もでてくるのではないか。そうなると「魔法のように引き寄せる」と誤認されるような発言は、道徳的にも倫理的に危うい。

例えば大きなビルを建てるとしよう。その場合は「ビルを建てるための手順を踏んで工事する」から建つのであって、「ビルが建って、幸せだなぁ」と思うだけではビルは建たない。車が欲しいと思ったら、まずは欲しい車を検索し、予算と相談し車種を決めて・・・と手順を踏むから車を入手することができるのだ。

全く何もないところから、魔法のように物が出現することはない。物理法則は無視できない。したがって「何もしなくても、勝手に願いが叶う」と本気で思い込んでいるなら、何も行動しない人間になるかもしれない。これは非常に危険なことだ。

引き寄せの法則で願いが達成されるのはなぜか?

引き寄せの法則では「本当に実現したようにイメージを味わうと願いが叶う」とされている。

リアルなイメージを味わうことで、脳は現実と同じように体験したと錯覚する。脳は現実と空想を区別できないらしいから、ドーパミンが出てやる気を持続できる。やる気は目標達成までのガソリンだから、目標達成するまで頑張ることができる。

しかし「イメージしたから、勝手に現実が変わる」わけではないのだ。

不安が現実化するのは嘘

シークレットによると「1日の大半を不満ばかり考えているのではないか?」 「そればかりを考えているのであれば実現する」と書かれてある。しかし、思考が現実化するのは本当だろうか?

例えば、あなたが飛行機に乗るたびに「墜落は怖い」と思って乗るとしよう。将来、あなたが乗っていた飛行機が墜落することはあるだろうか?

個人の恐怖心で0.000034%の確率である飛行機事故を引き起こすことができるだろうか?また、実際に引き起こしたとして、どうやって根拠を説明できるのだろうか?

雷に打たれるのが怖いと思い続けて、実際に雷に打たれたことはあるだろうか?雷に打たれる確率は2000万分の1以下だ。あなたが不安に思っていようが、不安に思わないだろうが、人間の思考が天気を操作し僅かな確率で的中することはない。

不安という気持ちは生物が生存するために当たり前にある本能である。つまり不安は生きるために絶対に必要な感情だし、危険が現実に起こらないようにあるのだ。1日の大半を危険察知に費やすのは無意識でも行われていることであって、悪いことではないし、不自然なことでもない。

引き寄せの法則で願いが達成されるまでの手順

では、引き寄せの法則は無いのかと言われればそうでもない。欲しいものを手に入れるまでの手順は以下の通りだ。

  1. 欲しいものを明確に想像する
  2. 欲しいものを調査する
  3. 入手可能な方法を模索する
  4. 行動に起こす

つまり、目標と行動があれば、自分のできる範囲であれば目標は実現されるのだ。

まとめ

自己啓発の本質は「行動」ということになる。しかし、行動できる人間が少ないので、やる気を出させるため・商品を売るために表現を駆使して誇大表示になっていることがあるのだ。ビジネスだから仕方がない。

大切なのは、あなたがこの世にある自己啓発をそのまま鵜呑みにせず、まず前提を疑い、真意を汲み取り、必要な部分だけ抽出し行動に活かすことである。考える力があなたを幸せにするのである。

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