バールベックの巨石は本当に運ばれたのか?

レバノンの首都ベイルートから東へ約10キロの小都市バールベックに、世界屈指の巨大神殿複合遺跡がある。そこから少し離れたところに、巨大な切り石「南方の石」が存在する。古代、加工石材としては世界最大級の巨石が運ばれたとされているが、本当に運ばれたのか巨石運搬の謎を解明する。

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バールベックの巨石の概要

バールベック行きの乗合バスに乗って3時間ほどでバールベックに到着する。バールベックはジュピター神殿・バッカス神殿・バールベックの巨石が有名である。バールベックは中東三大遺跡の1つに数えられている遺跡である。

バールベックの巨石はローマ帝国の最も神秘的な遺跡であり、3000トンの石のブロックの上にある2千年前の寺院であり、世界遺産に登録されている世界でも有数のローマ神殿跡である。

バールベックはフェニキアの神バアルにちなんで名付けられた。ローマの統治期間中、バールベックはヘリオポリス(「太陽の都」)として知られていた。しかし、建設段階の正確な年代測定を含む、この記念碑については非常に多くの問題が未解決のままである。

紀元前1世紀ごろから建立され、カエサルをはじめとする歴代のローマ皇帝たちによって完成されたが、現在は高さ1メートルの基盤の上にジュピター神殿、バッカス神殿、ヴィーナス神殿の3つが現存するのみだ。

高さ十数メートルの城壁に囲まれた総面積6万平方メートルの高台に建つこの堂々たる大遺跡は、一般的には、西暦前1世紀から後4世紀にかけてローマ帝国の数人の皇帝が造営したユピテル、バッカス、ウェヌス三神殿の壮大な廃墟で知られている。

寺院は、世界中で見られる最大の石のプラットフォーム上に建てられた。 これらの巨大な27個の石灰岩のブロックは、基部に3個のブロックがあり、それぞれ約1,000トンの重量があり、「トリリトン」として知られている。

建設時期

ジュピター神殿の建造は、紀元前1世紀に始まり、カエサルおよび歴代のローマ皇帝によって、約200年かけて行われた。柱の太さは2.2メートル、高さは20メートル以上ある。

先住民であった古代セム族の宗教建築物を基壇部として、その上に重ねて造られた。紀元前3000年ごろ建造されたといわれる。

巨石のサイズ

通称「トリリトン(驚異の3つ石)」と呼ばれる3つの組み石。バールベック遺跡の象徴ともいえるジュピター神殿の基壇部に使われているものだ。いずれも高さ4メートル、幅4メートル強、長さ20〜21メートルで重量は650~970トン。この石は運搬作業が途中で中止され、無造作に放置されたまま現在にいたっている。

当地の伝説によれば、セム族が神殿を建立したとき、身長が普通の人間の数倍はある巨人たちが、建設を手伝ったという。

南方の石

一方、建設物に使われていない切石として世界で最大のものがある。1キロほど離れた石切り場にある巨大な切り石「南方の石」である。「バールベックの巨石」とも呼ばれる。

長さ約21メートル、高さ4.2メートル、幅4.8メートル、推定重量2000トン。推定なのは計測不能だからだ。この様子からバールベックの巨石がいかにして切り出されたかが伺い知れるが、運搬方法だけが不明である。しかし、これほどの巨石をどうやって運んだのだろうか。

真相

2000トンを動かすのは不可能ではない

現在では700トンくらいの重量を持ち上げるのが限界だとする話が出ている。

しかし、世界最大のクレーンである「Bigge 125D AFRD スーパークレー」は、最大で7500トンもの重さのものを持ち上げることができる。このクレーンは、高さが 170メートル、馬力が3,450 hpある。

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実は、サラブレッドが全力で加速しているときは数十馬力、人間でも100メートル走などにおける瞬間的な最大出力では1馬力程度の力を出すことができるそうだから、馬なら数百頭、人間なら数千人を使いタイミングを合わせて全力で引けば動かすことができる。

また、ロシアのエカチェリーナ2世が寄贈した、有名なピョートル大帝像「青銅の騎士」の土台の1350tの巨石を6km動かすのに人力で3年かかったそうだから、1000から2000トンの重量を動かせないわけではなさそうだ。

巨石は動いていない

そもそも南の石は動いた形跡がない。建築物に使う石材は岩場から移動しておらず、巨石も埋もれている。つまり、動いたという形跡はない。

なぜ、巨石を動かさなかったのだろうか?

輸送に耐えない素材説

「石の表面は、ブロックを切断せずに輸送および使用されることを意図していたことを示しています」とドイツ考古学研究所は声明で述べた。考古学者によると「ブロックの端の質が悪く輸送中に破損する可能性があるから、輸送を断念した」という。

ローマ人に気づかれず地中に埋もれていた説

ローマ人は実用主義である。これほどの巨石に気づいたなら、切り取るなり運ぶなり加工するはずだ。人工的な痕跡が全くないのは不自然だ。

ローマ人は、バールベックの巨石の存在を知らなかったのではないだろうか。おそらく、ローマ人が登場した何千年もの間、巨石は何メートルもの堆積物の下に埋められていたのだろう。彼らはすでに遠く離れた古代の神聖な場所にある巨大な石を利用したのではないか。

以上のことから、バールベックの巨石は「ローマ人に知られないまま採石場に深く埋められた未使用の巨石であり、その場から動いていない」というのが現時点での穏当な説である。

オーパーツが展示されている場所

Baalbek, Lebanon:レバノンの首都ベイルートの「コーラ・バスターミナル」から、バールベック行きの乗合バスに乗る。3時間で到着する。

参考文献

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