読書を1年続けると、どのような影響や効果があるのか

読書の効果

読書を続けると、人体にどのような影響や効果があるのだろうか?

先進諸国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の論理的思考力を問う国際学力調査によると、日本の生徒の読解力低下が顕著に出たそうだ。参考:【主張】国際学力調査 情報に溺れない読解力を – 産経ニュース

論理的に考え、情報の信憑性を見極める能力が低下しつつある。現在の子どもたちはLINEなどのチャットやゲーム、テレビのテロップなど短文に慣れてしまっている傾向があるし、身の回りでも長文を読まなくなっている人達が増えたように感じる。

読解力を高める方法として有効なのが読書だといわれる。

読書は情報を得るだけでなく抽象化する力を育ててくれる。読書の目的の中で最も重要なのは後者の「考える力」をつけることである。ここでは、読書がもたらす効果を述べる。

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筆者は読書を1年続けた。月に10冊ほど読むので、年間に120冊読んだことになる。1年では読む速度は上昇しなかったが、筋道を立てて考えたり話すことができるようになった。つまり、論理的思考力が高まったのである。

もうひとつ、読書の最大の功績が「言葉を説明」する力が高まったことである。例えば証明という文字が出てきたら、頭の中で「事実であることを明らかにすること」といったように、言葉を言語化できるようになった。そして、この言語化する力が説得などに役立つ。

読書の目的

読書の最終的な目標は何か?

小児発達学部教授であり優れた業績を残したメアリアン・ウルフ著書のプルーストとイカは「読書の目標は、著者の意図するところを越えて、次第に自立性を持ち、変化し、最終的には書かれた文章と無関係な思考に到達する事にあるのだ。」と述べている。

文章を理解するだけでなく、自分なりの主張や批判を持つことが大切だということだ。

知の巨人、立花隆氏は「ものを考えるうえで本は重要である。思考過程を伝える本を読むことが考えるのに一番役立つ」という。

頭の中を言語化したのが本だから、本を読むことで、よくも悪くも他人の思考回路を学ぶことができるというのである。

読書には情報を得る目的と、思考を拡張する役割がある。そして読書の目的の中で最も重要なのは後者の「考える力」をつけることである。

読書とは今以上の考える力を与えてくれるものだ。考えるとは、データを加工しながら結論を導き出すこと。ビジネスや社会では考える力が問われるし、文章を理解し真意を汲み取る能力は生きていくうえで必要である。

また、複雑な手順や依頼を相手に伝えるには、考えながら筋道を立てて話さないと相手に伝わらない。読書をすると論理的思考が鍛えられるから、筋道を立てて説明することができるようになるのだ。

難解な本を読むことで思考力が高まる

シカゴ大学哲学教授だったM.J. アドラーとエンサイクロペディア・ブリタニカ・インコーポレイテッド副社長だったC.V. ドーレンの著書「本を読む本」に「良書は難解である。自分の理解を越えた本を読むことが必要。自分の理解を越えた本を読むときこそ、読み手はいっさい外からの助けに頼らず、書かれた文字だけを手がかりに、その本に取り組まねばならない。読み手が積極的に本にはたらきかけて浅い理解からより深い理解へと、読み手自身を引き上げていくのである」と書かれてある。

難解な本を読むには、思考力を総動員する必要がある。そうして理解を積み重ねるたびに、脳に新たなシナプスが形成される。難しい本を読むということは、物理的にも脳を変えるのだ。

難解な本を読む方法として、M.J. アドラーは、難解な部分は飛ばして通読せよと言っている。すぐに理解できない箇所があっても、語句を調べたり考え込んだりしすぎては先へ進めない。最初は完全に理解できなくても、再読を繰り返すことによって理解が深まる。

本を要約すると抽象化が高まる

抽象化とは枝葉を切り捨てざっくりと考えることである。抽象化を鍛える方法として、文章の要約がある。要約は全体の内容を理解し著者の最も伝えたいことを短くまとめることだ。

抽象化を高めることによって高度な思考となる。考える対象を抽象化する力を育ててくれるのが読書である。

要約は読解力を高める方法としても有名だ。読解力はあらゆる学問を理解する源である。読解力を高めたい人は本やニュースを要約する習慣をつけるとよいだろう。

他人を理解する能力が高まる

文章を理解するのは、他人の頭に入るということである。著者の真意を汲み取るのは他人の気持ちを理解することに繋がるし、文章を要約する力は他人の話しの中から核心を掴む力と同意である。

読書によって培われた読解力は、クライアントさんのクレームメールの真意を読み取ったり、契約書の穴を見つけたり、正しい言葉を使って交渉したり、仕事で使う専門技術書を理解したりと、様々なビジネスシーンで大活躍する。

未だに学歴で採用を判断する企業がある。なぜなら学歴は理解力を判断する基準の一つだと考えられているからだ。

著者の経歴を確認する

読書の効果を高めるに、知性と教養が高い人が書いた本を選びたいところだ。判断基準は権威性と、何を成し遂げたのか?である。

ここに全く同じ内容を書いた本が二冊あるとする。大学教授の著者と、何を成し遂げたのかよくわからない著者の本、どちらを買うだろうか。どちらが優れているとは決めつけられないが、権威は研究の継続と成果を表す指標であり説得力がある。嘘を書いて研究室の信用を失墜させることも許されない。

例えば、著書紹介で「インフレーション理論を提唱。京都大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了、現在は宇宙論委員会の委員長を務める。」などと書かれていたら、権威性が高いし読んでみようとなる。

「日本マクドナルド㈱、日本マクドナルド㈱を設立。藍綬褒章受章。」これも、凡人ではできないことを成し遂げた人だから、読んでみようとなる。

しかし、○○大学卒業とだけ書いてある著者は、学歴以外に何もアピールするところがないと思われても仕方がない。東京大学卒と自己紹介だけ書かれていても、権威性にはならない。

読書の効果を高めるために、ベストセラーだからといって安易に購入するのではなく、著者の経歴(大学教授、小説家、上場企業の経営者など)や成し遂げたことをチェックすべきだ。

権威性を判断する目安

  • 博士課程修了
  • 大学教授、学者
  • 勲章・褒章の受賞歴がある
  • 上場企業の経営
  • 国際組織の委員会の委員長

子供に本を読ませてよいのか

プルーストとイカによると読書が幼少期に与える影響として以下をあげている。

  • 言語面で恵まれてない家庭と恵まれた家庭では、幼稚園に上がるまでに単語数三千二百万語の開きがでる
  • 読み聞かせられた子供は、読書が好きになる
  • 幼少期に物語を読んでいると「他人の考え方を受け入れる能力」が育つ
  • 読字によって複雑な情動を理解できるようになる

ひとつ例をあげると、私に京都大学法学部の友人がいるのだが、子供の頃から読書が趣味で小学生で既にドストエフスキーの罪と罰を読んでいた。生物や科学も教科書を一度読んだだけで理解したそうだが、学力の源は読解力だと話していた。

歴史が得意な子供は、教科書をマスターしているのではなく、歴史そのものに興味を持っていることが多い。歴史博物館に行って感動したり、江戸の食生活の本を読んだり遊びのように教養に携わる。

本を読むだけでなく教養の素晴らしさを楽しむことが大切だ。

一つ注意点があるとすれば無理やり子供に本を読ませてはいけないことだ。もし読書を子供に強制したら、間違いなく読書を嫌いになり、大人になっても文章に拒否反応を示すだろう。

読み聞かせたり、あなたが本を楽しく読んでいる姿を子供にみせるのが一番よい。

何かを学ぶときに、公式のリファレンスを読む機会があると思うが、必ず文章で書かれている。読解力とは文章を理解し著者の意図を汲む力だから、社会に出ても読解力は必要なのだ。

大人でも難解な単語を読むと、子供のように脳が活性化するそうだから何歳になっても読書をするのは遅くない。是非、読書の習慣を積み重ねよう。

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