根拠のない心霊現象の嘘を科学的に暴く

心霊現象とは、霊魂がおこしていると思われる超常現象の類である。基本的に超常現象は科学では説明できないとされるが、実は心霊現象のほとんどは科学的に説明できる。

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心霊現象とは

心霊現象には具体的に以下のような現象がある。

  • 霊がみえる
  • 心霊スポットで寒気がする
  • そこにいるはずのない人の音が生活音が聞こえる
  • 火の玉と遭遇する
  • 幽体離脱を経験する
  • 正体不明の人影に悩まされる
  • ポルターガイストが起こる

しかし、本当に心霊現象は心霊の類が引き起こしているのだろうか?

霊がいるのなら、なぜ虫や家畜の霊を見ないのか?なぜ日本で外国人の幽霊を見ないのか?原始時代の人や恐竜の霊を見ないのはなぜか?チリメンジャコや大腸菌の霊はいるのか?

実は心霊現象のほとんどは科学的に説明できる。

なぜ心霊スポットで寒気を感じるのか?

生存本能による体温の低下

超常現象科学者達の挑戦という本で、マーガム城の科学調査について検証されていた。SPR(心霊研究協会。会員には物理学や医学生理学などノーベル賞受賞者が11名いる。)のメンバー達は幽霊が出るスポットで機械が感知できない冷気を感じ取った。

幽霊の正体を暴くために日本である実験が行われた。大阪バイオサイエンス研究所の神経機能学部門で小早川博士がネズミを使った実験を行ったところ、ネズミは恐怖(蛇の匂い)を感じると、蛇から見つかりにくいように体温が自動的に下がることが分かったそうだ。

恐怖は体温を下げる!

SPRのメンバー達は、幽霊が目撃されたという暗闇の中張り込みを続け、ふとした気配やわずかな違和感にも敏感になっていた。その結果、脳が知らず知らずのうちに恐怖を感じ、無意識に体の温度を下げていたので寒く感じたという可能性は十分にあるという。

つまり、マーガム城の冷気は恐怖から身を守る人間の生存本能が引き起こしていたのだ。

なぜ霊の幻覚をみるのか?

パレイドリア効果

マーガム城でハンチング帽を被った男を見たという証言がある。この謎の男の霊はどう説明すればよいのだろうか?

霊の正体はパレイドリア効果で説明できる。

超常現象に懐疑的な研究者としてアメリカで知られているロンドン大学の心理学者、クリス・フレンチ博士は「マリア像に見える焦げたサンドイッチの模様が300万円で売却された」という例を提示した。この例のようになんでも無い模様が、人の顔に見えてしまう性質を「パレイドリア効果」という。

パレイドリア効果とは、無意味な模様の中に顔などの形があると思いこむ脳の錯覚である。古代より人類は敵味方を見分けるために、人の顔をいち早く捉え判別し危険に備えたそうである。

スイス・ジュネーブ大学病院でのアラン・ペーニャ博士の実験によると、脳が顔を認識するまでに0.1秒かかるそうである。これは文字を認識する場合の2倍の速さだ。人間の脳は顔を優先的に察知するのだ。

つまり、これらの実験から分かることは「脳は無意識に周囲から顔の情報を拾うので、人間の顔に見えるような模様があったら、人間の顔と錯覚することは十分に考えられる」ということである。

実際にマーガム城で幽霊が出現したスポットを調べてみると、壁や煉瓦に沢山のシミがあり、人の顔のように見えてくる。人間の脳は、これらのシミを0.1秒で察知して顔だと認識したのである。

人間の脳は人間の顔に似たものを瞬時に察知する!

人間の顔を優先的に拾うようになっていることを考慮すると、家畜や恐竜の霊を見ない理由もパレイドリア効果で説明がつきそうである。

感覚運動信号の乱れ

EPFLの研究者は、幽霊の幻想を実験室で人工的に再現することに成功した。研究者らは、この種の「幻影」を経験した神経障害のある12人の患者(ほとんどがてんかん)の脳を分析した結果、島皮質、前頭頭頂皮質、側頭頭頂皮質の領域で病変を発見した。

科学者たちが「不協和音」実験を実施。時間と空間の知覚をゆがめる非同期条件下で、幽霊の錯視を再現することができたそうである。ロボットを使った実験では、被験者が機械を動かすと背後のアームが被験者の背中に触れるものだが、タイミングを遅延させるだけで感覚運動信号の乱れを引き起こし、虚構の存在を感じ取ったのである。

自己の統一された自己認識が誤作動を起こすと自分以外の存在が造られる。脳が自分の動作を忘れたことがきっかけで、幽霊と錯覚することがあるのだ。

Neuroscientists awaken ghosts… hidden in our cortex

なぜ霊の幻聴をきくのか?

バイノーラルビート

左右の耳から異なる周波数の音を聞くと周波数の差がうなり音となって聴こえ、脳が瞑想状態になるという。深い瞑想や体外離脱などで生じる特別な意識状態は、数ヘルツ前後の脳波状態で起こるそうだ。

hemisync-jp.com(ヘミシンク・セミナー)-ヘミシンクとは?

バイノーラル・ビートとは、直訳すると「両耳性うなり」のことです。左右の耳から異なる周波数の音を聞くと、脳がその周波数の差につられて脳波をあわせてしまうという特徴を利用しています。脳が瞑想状態になっているのです。
バイノーラル・ビートの効果 | バイノーラル・ビート・ジャパン

ガンツフェルト効果

ガンツフェルトとは、感覚遮断を実現する方法である。具体的には白いアイマスク(視界を覆うもの)を装着し、ホワイトノイズを聞くことにより感覚を遮断する。

白いアイマスクを紙などで作り、ホワイトノイズを聞くと幻覚や幻聴を体験することができる。これに近い環境に身を置くと幻聴や幻覚を見る可能性が高くなるのだ。

ビデオ内で体験した男性2人の場合は開始後20分たった頃に、恐竜やクラゲと類似したシルエットがカラフルに浮かび上がって見えたという。そして1人は叫び声が、もう1人は笑い声が聞こえたと報告している。トカナ編集部でも試してみたところ、とある瞬間にフッと「仏像が見えた」「タモリさんに似た人が見えた」「ざわざわと囁き声が聞こえた」などの体験があがり、今までの自分の世界観が変わるような体験だったと語るスタッフもいた。
ドラッグなしで幻覚・幻聴を体験する超簡単な方法! 20分で感覚がブッ飛び… 世界観が変わる「ガンツフェルト効果」とは!? (2018年11月8日) – エキサイトニュース

超心理学講座・ガンツフェルト実験

霊との会話

事前リサーチ説

1993年12月、イギリスのロンドン塔から生中継を行った日本テレビの宜保愛子特番で、彼女はロンドン塔で最も呪われているとされる「ブラッディ・タワー」の霊と交信した。

彼女は「小さな男の子の霊が本を読んでいる。彼は陰謀のために幽閉されたのだ。」と霊の状況を説明した。

しかし、実は彼女の目の前でロンドン塔の王子たちが語って見せた台詞や動きは、夏目漱石が小説「倫敦塔(ロンドン塔)」で語って見せた台詞と全く同じだった。ちなみに倫敦塔は漱石が「実のところ過半想像的の文字である」と注意している。

つまり、宜保愛子氏は「想像で書かれた倫敦塔の台詞やつくり話」と全く同じ内容を語ったのである。さらにいえば、王子達の時代には上階は存在せず屋根は無かった。彼女が霊視で語ったように、屋根の上で王子達がベッドに乗って座っていたということはありえないのだ。

これは、事前に漱石の倫敦塔を事前に読み、霊視と称し語ったことを意味する。

なぜ多くの人が同じ亡霊をみるのか?

人間は虚構を本物の記憶と勘違いしてしまう

イギリスのラトクリフ波止場で、司祭の亡霊が出るという嘘情報を雑誌が掲載した。それから3年すると、司祭の亡霊を見たという証言者が続々と発見された。なんと存在しないものを、多くの人があっさりと信じてしまったのだ。

古代時代、見知らぬ人同士が協力できたのは、神話が信じられ共有されたからだという説がある。

ユヴァル・ノア・ハラリのサピエンス全史によると、ホモ・サピエンスは、認知革命によって虚構を信じ文明を発達させてきたそうだ。国家やお金など物理的に実体がないものを物のように信じている。現実には存在しないものを信じ、お互いに協力し合うようになるのは人間だけだ。

幽霊という虚構を信じるだけでなく、お互いに協力しあい証言し、ついには現実のものにしたのである。

記憶の捏造は可能である

虚構の出来事を意図的に事実と勘違いさせる実験が行われた。

心理学で最も影響力のある雑誌の1つである「サイコロジカル・サイエンス」に掲載された実験において、誤情報を盛り込んだ3回のインタビューの後、参加者の70%が犯罪(窃盗、暴行、または武器による暴行)を犯したという誤った記憶を保持したそうだ。

Constructing Rich False Memories of Committing Crime – Julia Shaw, Stephen Porter, 2015

このケースでは、人間の記憶は実に曖昧で捏造すら可能であることを示唆している。エセの記憶を植え付けることは簡単なのである。

これらの事例から、大勢の人が同じ幽霊を見たり、子供の頃に経験した霊体験も説明がつく。

火の玉が発生する理由とは?

プラズマで火の玉発生

火の玉や人魂のように空中を浮遊する球電という現象がある。この火の玉現象は世界中で見られる。火の玉は霊魂なのだろうか?

数多くのノーベル賞科学者を輩出してきた各分野の世界トップレベルの研究者たちが集まるドイツのマックス・プランク研究所が、火の玉を発生させる実験を行った。研究の結果、水の水槽と4.8キロボルトの電圧をかける電極で火の玉が発生した。

この火の玉の正体は「プラズマ」である。水が蒸気となり原子から電子が離れるときに光が放出されるのだ。

つまり、火の玉の正体はは霊魂などではなくプラズマなのである。

電磁波で火の玉を見る

スウェーデン・ウプサラ大学のバーノン・クーレー博士は電磁波についての研究を行っている。その研究の中で、うつ病患者がTMSという経頭蓋磁気刺激法を受けている時に、光の玉を見たという。

博士によると「電流が脳の視覚野を活性化させ幻覚をみせる」というのである。つまり、電磁波が発生している部屋では火の玉を見る可能性があるのだ。

ポルターガイスト

2000年10月に岐阜県賀茂郡富加町の住宅に入居した多くの住人から、不審な音がするとして苦情が入った。不審な音とは爆発音や瓶が転がるような音である。その他、勝手にガスコンロの火がついたり、テレビチャンネルが変わるなど、ポルターガイスト現象が起きているというのだ。

霊能者にお祓いをお願いしたところ「この現場で女の人が首をつった」と発言した。お祓いをしたところポルターガイスト現象がおさまったというが、頑なに死んだ女性の名前を言わなかった。

ラップ音の原因

早稲田大学の大槻義彦教授は、ポルターガイストの音や物が動く現象は錯誤かやらせのどちらかだと断言する。奇妙な音の原因は建築物の構造にあることが多い。日中と夜間の温度差で建材がきしむ音がしたり、金属が冷えて劣化音がする。

この住宅はPCプレハブ工法で建設されている。この工法を使った建物は熱膨張が原因でパネルがずれ、様々な音がするそうだ。また水道や排水のパイプが原因で音がすることもある。

つまり、ウォーターハンマー現象と熱膨張がラップ音の原因である。

物が勝手に動く

近くの工場から低周波音が出ていて、それが自宅の家や物を揺らすこともあるし、電化製品の誤作動を起こすこともある。

新・トンデモ超常現象60の真相に、著者が音の専門家と工学部教授に質問を投げかけていた。専門家は岐阜県のポルターガイスト現象に対し以下の回答を出している。

  • コンセントにつながっていないドライヤーは勝手に動かない
  • 普通の音や振動でお皿がフリスビーのように飛ぶことはない
  • 電磁波でお皿は飛ばない

その後の調査では、住人の食器棚はマグネットで止まる形式であり、内部から力が加わると自然に開く構造だというのが発覚した。また、ポルターガイストが起きた部屋に「オカルトや怪奇漫画」が積んであったそうだ。空中を飛んだ茶碗を見たという人も一人だけであった。

つまり、これらのことからポルターガイストの原因は

  • オカルト好きの住人が承認欲求を満たすために、誇張して話を盛った
  • 食器棚に食器を詰め込み過ぎて圧力がかかり自然に棚が空き、お皿や茶碗が下に落ちた
  • 近所の電磁波を感じ取り、ガスコンロやリモコンが反応した

と考えれば無理がない。

この住居には、沢山の霊能者が押しかけ自分が祈祷している様子を勝手に写真に撮り去っていったという。つまり、霊能者自身の宣伝に使用したのである。

誰もいないのにチャイム音が鳴る

これは筆者自身の体験談だが、平日の深夜に「ピンポーン」と何度もチャイム音がしたことがある。外の様子を見ても人の気配がない。翌日、またチャイム音が鳴ったので外に出てみると、なんと誰もいないのに目の前でチャイムがなり続けていたのである。一見すると心霊現象だが、原因は物理的なことだった。

原因は、前日に宅配業者がインターホンを鳴らしたときに、ボタンが斜めに押し込まれ引っかかり、ボタンが「押しっぱなし状態」になっていたことだった。このインターホンは10年以上前につけられたもので老朽化しており、押しっぱなしになっていても、音が鳴ったり鳴らなかったりしたのである。

引っかかっていたボタンを元に戻すと、その日からは勝手にチャイム音が鳴ることはなかった。

参考文献

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