なぜ人間は、一人でいるのが寂しいのか?寂しさの正体を暴く

なぜ、なぜ人間は、一人でいるのが寂しいと思うのでしょうか?この記事では、寂しさのメカニズムや孤独感の原因をつきとめ、寂しさに対処する方法を解説します。

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孤独とは

ブッダが語ったことばが記されている聖典スッタニパータにこのような言葉があります。

「あらゆる生きものに対して暴力を加えることなく、あらゆる生きもののいずれかをも悩ますことなく、また子を欲するなかれ。況(いわ)んや朋友(ほうゆう)をや。犀(さい)の角のようにただ独り歩め。」

「交わりをしたならば愛情が生ずる。愛情にしたがってこの苦しみが起る。愛情から禍いの生ずることを観察して、犀の角のようにただ独り歩め。」

他人と交流すると情が生まれ苦しみを感じるようになる。自分を頼りにして生きよ、他人に依存するなという内容です。

しかし、現代社会において一人だけで生活することは困難を極めます。結婚であれ会社であれ、ご近所付き合いであれ、何かしら他者への依存があります。

なぜ人間は、一人でいるのが寂しいと思うのでしょうか?

孤独とは他人との接触や関わりがない状態を指します。寂しさは脳が感じる感情であって、形や姿などの構成要素はありません。

手で触れることも絵に書き出すこともできず、人間が勝手にあると思いこんでいるだけです。空の概念でいえば実体はなく存在していないものです。

なぜ一人でいるのが寂しいのか

人間の感情は、ポジティブなものとネガティブなものがあります。

ドーパミンが分泌されているときはポシティブな感情(嬉しい、楽しい、大好き)が発生します。ストレスや恐怖を感じたときにはネガティブな感情(怒り、不安)が発生します。

寂しさはネガティブな感情に分類できます。つまり、孤独感は根のところで「恐怖」という感情から発生しているかもしれないのです。

寂しさ = 恐怖

それでは、寂しさにつながる恐怖とはどういったものでしょうか?

支持環境の脆弱さによるもの

書籍 マインドコントロールの中に以下のような記述がありました。

かつて新左翼のセクトがターゲットとしたのは、地方から都会へ出てきて一人暮らしを始めたばかりの青年だった。彼らは孤独だった。方言という壁があるため、学友たちと気楽に話すことさえ困難を伴う。田舎では秀才ともてはやされていても、都会の大学に出てくれば、ただの田舎出の凡才に過ぎない。(中略)彼らのプライドは傷いた。

外見や才能だけで勝負してきた人は、自分よりレベルの高い場所に放り込まれると、自分の存在を認識することができなくなり不安になります。

自分を支えていたもの(周囲にちやほやされること)が脆弱になった人達は、親しげに近づいてきた怪しい輩にさえ親しみを感じます。再びちやほやされて自分の存在を再確認し安心できるからです。

彼らは寂しさや精神的な支えの乏しさから、マインドコントロールを簡単に受け入れてしまいます。

精神的な支えが乏しい社会では、アイデンティティ(自分らしさ、自分の存在を証明すること)の危機を感じやすく、自己を肯定できなくなり、その恐怖から逃れるために、誰かとのつながりを求めるようになります。

寂しさを感じるのは生存本能である説

一人でいると、想定外のトラブルが起きたときに自分だけで解決しなければなりません。自分が持ち合わせている情報量や知性でトラブルが解決できる保証はありませんし、トラブルによって受ける損害を回避できる可能性が低くなり不安になります。

場合によっては生命を脅かすトラブルがあるかもしれません。おそらく、人間の生存本能が一人でいることの危険性を感知し、それを本人に知らせるために恐怖心を発生させているのではないかと思われます。

パートナーがいたり、友人がいると困ったときの解決案を増やすことができて、生存の可能性が高くなり不安が解消されます。

狩猟民族時代では狩りや、集落で食べ物を分け合ったり、生き残るために必要な情報共有など、人間を生存させるための集団生活がありました。その習慣が遺伝子や文化に残されていると考えられることもできます。

寂しさに打ち勝つ方法

自分らしさがあると孤独に強くなります。自分らしさがない人は孤独を感じるようになります。

自分らしさとは才能の高さや外見の美しさではなく「自己肯定」です。自分の欠点や過去全てを素晴らしいと思い続けることです。そのような気持ちでいる人は、年老いても自信があり、いつまでも輝いてみえます。

もし、あなたが「一人でいるのが寂しい」と感じているのなら、他人や自分の素晴らしいところを見つける習慣を持ってはいかがでしょうか。きっと自分を愛し、それでいて誰からも愛される人になるでしょう。

参考資料
  • マインドコントロール 岡田尊司
  • スッタニパータ
  • 仏教聖典

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