古代エジプト文明の遺産を集大成した首都カイロのエジプト博物館にはずみ車(フライホイール)と呼ばれる工芸品が収蔵されている。
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目次
古代エジプトのはずみ車の概要
はずみ車とは「フライホイール」ともいい、エンジンのほか無停電電源装置などの機械部品として使用されるものだ。だが、紀元前3100年の段階で、はずみ車の使用はもちろん確認されていない。
完全に三対称的にデザインされた精妙な幾何学曲線と、くり抜き部分から成る片岩製の円形物体で、直径は約60センチ、厚さは最高10センチ。素材はシストと呼ばれる岩で造られているから、はずみ車として使うことはできなかったと考えられている。
手作りとは思えないほど婉曲を描いている。明らかにシャフトにはめこんで回転させるための軸穴が中央にあいている。
発見
これは1937年、カイロ南部のサッカラにある紀元前3100年ごろの第一王朝アジブ王の皇太子サブーの墳墓から、エジプト学者のウォルター・E・エメリー教授によって発見された副葬品だ。
墳墓の主は古代エジプト最初の王朝である古王国第1王朝の皇太子サブ王子で、遺物は考古学的には「石皿」と説明づけられている。
真相
フライホイールとしては使えない
だが、単なる石皿にしては、形状が複雑すぎる。素材は結晶片石と呼ばれる変成岩の一種で、非常にもろく割れやすい石である。加工には向いているが、実用には不向きだ。回転させたら壊れるので、フライホイールとしては使えない。
簡単に作ることができる
精密に加工されている点が、高度の科学知識と技術水準を示唆しているなどと言われているが、ギザ出土のコアドリルで石に穴を開けて作ることは可能である。
祭祀用
しかも穴が中央にあるなど、とうてい石皿には見えない。この穴はむしろ何かを回転させるために開けられた軸穴と考えたほうが適切だろう。材質と出土場所から考えて、明らかに実用品ではなく、何かをかたどった祭祀用か装飾用品だろう。
レプリカ説
イギリスのエジプト学者シリル・アンドレッドは、「この物体は本来、金属製だったものをかたどったレプリカなのではないか?」と述べているが、レプリカを作る理由を説明していない。
古代史研究家のゼカリア・シッチンは、近年ロッキード・ミサイル&スペース社の技術陣によって宇宙船や機関車の新型エンジン用に試作された、はずみ車と酷似していることを指摘し、宇宙文明人から地球原住民に残された『遺産』の一部だったとすると語ったが、フランス人のドニ-・ババンがエンジンを施策したのが1695年頃だから、時期的に合わないし、宇宙船の存在は科学的証拠がないので仮説に取り入れるのはナンセンスである。
ランプ
中心に何かを入れるような穴が空いている点と、風よけのようなものがついていることから、行灯やランプのように使用したのではないだろうかと考えるのが妥当ではないだろうか。
花瓶説
博物館の陳列ケースの解説には「ユニークな形態の片岩製花瓶。たぶん、蓮を生けて柱上に飾るためのもの」と記されている。現地で記載されているだけあって信憑性も高い。
これらのことから、古代エジプトから出土したはずみ車のようなものは、壊れやすい素材で造られていたということから、ギアやエンジンなどの一部ではなく、祭祀や花瓶など古代に使われていたと考えるのが有力であろう。
オーパーツが展示されていた場所
エジプトの首都カイロにあるエジプト国立博物館
参考文献
- 神々の遺産オーパーツ大全:並木伸一郎
- 超古代オーパーツ図鑑:南山宏
- オーパーツ超古代文明の謎
- オーパーツの謎